導入事例 ユニバーサルヘッド5軸NCルータの調整(奈良県)

■お客様:奈良県B社
■業種:家具/建具製造
■設備機械:SHINX製 ガントリー型5軸制御NCルータ
■制御装置:FANUC Series 31i-B5
■導入時期:2025年

複雑形状加工を可能にする5軸NCルータ

奈良県に工場を構えるB社では、SHINX製ユニバーサルヘッド5軸NCルータを活用し、業務用家具や建具等、多彩な木材製品や部品を生産しています。この5軸NCルータは、X・Y・Zの直交3軸に加え、工具を傾斜・旋回させるB軸・A軸の回転2軸を備え、複雑な形状の加工を可能にする工作機械です。

精度調整には熟練技術が不可欠

5軸NCルータは多軸構造を持つため、調整箇所が多く、精度の維持には高い技術と経験が不可欠です。さらに本機は、A軸の旋回中心がY軸から40°傾いた構造をしているため、誤差補正の難易度は一層高くなります。
精度が狂う原因には、経年変化や機械の移設に加え、加工中の過大な負荷やワークとの衝突などがあります。小型機であれば工場に持ち込んで修理する選択肢もありますが、大型ガントリタイプでは設置場所での調整が必須となり、熟練技術者による対応が必要になります。

現状把握 ―基準球とダイヤルゲージによる測定―

まず、現状把握を行いました。今回の機械にはタッチプローブが装備されていなかったため、ダイヤルゲージと基準球を使って5軸精度を測定しました。主軸に基準球を取付け、TCP工具先端点制御を有効にした状態で、B軸とA軸を動かしたときの基準球の動きをダイヤルゲージで読み取ります。最大で2.2mmの誤差が確認されました。

第一段階 予備調整

現状の誤差が大きい場合、測定値に含まれる誤差も大きくなり、1回の調整で補正をするのは難しくなります。第一段階で予備調整を実施しました。まず回転軸(B軸)と傾斜軸(A軸)の原点を調整し、次にA軸の傾斜角度、そしてA軸とB軸の旋回中心を計測してNCパラメータに設定します。調整後の誤差は最大0.38mmでした。ここまでの作業に1日を要しました。

第二段階 最終調整

第一段階の予備調整により誤差が小さくなり、測定値の信頼性が向上したため、再度全ての調整を実施しました。その結果、最大誤差は0.14mmまで改善されました。

工具長計測装置の校正

今回の機械には、機上工具長計測機が装備されていました。特に工具回転型5軸機では、工具長が正確に計測されていることが、ワーク精度の確保に不可欠です。
まず、正確な工具長が分かっている基準工具を用意し、その基準工具を基に基準球の工具長を算出し、さらにその基準球を用いて5軸精度を調整します。同時に、同一の基準工具を用いて工具長計測機を校正し、校正後の計測機で、加工工具の長さを測定します。このように全ての精度管理を同一の基準に基づいて行うことが非常に重要です。

実加工テスト

最後に、テストワークを用いて実際の加工を行っていただきました。調整前に見られた刃物の食い込みや段差などは発生せず、良好な加工結果を確認できました。

作業を終えて

今回の機械は、主軸を傾斜させるA軸がY軸に平行ではなく40°傾いた構造になっていました。そのため、ダイヤルゲージを40°傾けて設置したり、測定値をXYZ軸方向に変換する計算を行ったりする必要があり、高難易度の作業となりました。今回の調整作業を通じて、機械の精度だけでなく、私自身の経験も向上できたと感じています。



※ここに示す数値は実績値の一例です。マクロプログラム導入による精度保証はいたしません。

ボール計測マクロ、5軸マシニングセンタの心出し、誤差補正でお困りの方は、お電話またはフォームからお問い合わせください。

お急ぎの方、文章では説明しにくい、何をどう説明すれば良いか分からないという方はお電話がおすすめです。「ウェブで見たボール計測について聞きたい」と言っていただければOKです。精度不良、工数短縮でお困りの方、お問い合わせお待ちしております。

関連記事: